2008年12月05日

岩澤信夫氏の不耕起農法講演会の資料2


前回からの続き
 
6:今の農業はエネルギー消費産業だ

 今の稲作は、ある試算では10haで175の石油が必要だとされています。私たちが知らない間に農業はエネルギー消費産業になっていたのです。資源枯渇の時代を向かえ、もうすぐ石油がなくなり、今日のような機械化稲作はできなくなります。代替エネルギーが開発されれば別ですが、皆さんが家族を持つころにはお米がなくなるのです。そのときはお金が幾らあっても何も買えなくなります。アメリカが日本に輸出してくれると思いますか? アメリカの大規模機械化農業、大量にロッキー山脈の地下水を吸い上げて砂漠化を進める農業は、いずれ成り立たなくなります。パンもラーメンも、家畜のエサの穀物もです。無資源国の日本はどうしたら良いのでしょうか。食べ物がなければ人間は生きていられません。今から真剣に考えましょう。

 
7:無手勝流のやらずぶったくり農法の開発
 「そんな馬鹿な」と言う農法が見つかったのです。不耕起移植栽培を20年間も追い続ける中でいろいろと発見がありました。その中で際立った発見はイトミミズの存在でした。稲刈り直後の田んぼに米ぬかをまき、直ちに水を張るのです。するとイトミミズが1,000万匹以上にも増えることがわかったのです。彼らは地下5〜10p下の有機物や微生物を餌にして、膨大な排泄物を地上に吐き出します。この排泄物が5cmにもなり雑草の種子を覆います。除草剤を使わない田んぼが出現したのです。更にこの排泄物の中には膨大な肥料が含まれていたのです。化学肥料が要らない田んぼが出来たのです。

8:田んぼは生き物の宝庫だった

 耕さない田んぼには稲刈り時に刻んだワラが絨毯のように敷かれています。そこへそのまま田植えをするのですから、わらは水中分解をします。ワラの養分を栄養源に植物プランクトンが大発生します。植物プランクトンが発生すればそれを食べる動物プランクトンも大発生します。更にそれを食べる原生動物へと食物連鎖が起こります。次はそれを食べる昆虫類や魚類、貝類、両生類と多くの生きものたちが増えて、耕やかさない田んぼは生きものの宝庫になるのです。勿論田んぼの生態系の頂点である鳥類が集まってきます。害虫は天敵が増えてバランスが取れて悪さをしなくなります。

 
9:耕さない田んぼは酸素発生装置だった
 生きものは嫌気性の微生物を除き酸素がなければ生きられません。ワラを基点に大発生した植物プランクトンの大型の代表的なものにサヤミドロという藻類があります。このサヤミドロは真夏の水面を多い、水中で光合成をして酸素を放出します。従って酸素の発生した田んぼの水は溶存酸素量の多い田んぼになるのです。隣の田んぼは除草剤で藻類も殺され、酸素がなくて生き物が生きられないのです。耕やかさない田んぼの生き物が爆発的に増えるのは、この酸素のお陰だったのです。 

10:生きものいっぱいの田んぼの価値

 田んぼはこの冬期の湛水をすれば何処でも生きものいっぱいの田んぼが出現します。米を500俵生産する農家は500人の生命を預かっています。更に500俵の米を生産する田んぼの生きものの命を預かっているのです。生きものは田んぼと同じく子供たちや孫達に引き継がなくてはならない日本の財産なのです。機械化農業はこの視点が残念ながら欠けていました。畑にはメダカもドジョウも住めないゆえ、稲刈り後の田んぼの維持手法に配慮がなかったのです。今からでも遅くはないのです。


11:生きもの達が奏でる生物資源型農業

 田んぼの生きもの達の生命活動で稲作をするという発想は世界中にありません。しかし、私たちが20年間も追い続けた不耕起移植栽培に、冬季湛水という手法を重ねることによって花が開いたのです。1994年に提案した宮城県田尻町でマガンのグリーンツーリズム作戦で、マガンが訪れた冬季に水を張った田んぼは雑草が生えなかったのです。マガンが食べたにしては辻褄が合わなかったのです。3月中旬にシベリアに帰ったあと、5月中旬の田植えまで雑草が出なかったのです。ベジタリアンの彼らだけでなく別の要素があると調べたら、イトミミズやユスリカの幼虫などの仕業だと分かったのです。今では4万羽のマガンがおとずれ、ラムサール条約の締結地になっているのです。

 



 

posted by 農耕民 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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